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『1.一定のサイズの視標が網膜上にできる像の大きさは、眼から見た視標の視角に依存する.それよりも小さな視角では視認できない最小の視角を視力と定義する.
2.最小視角を求めるには、一定の大きさの視標がようやく視認できた時の眼からの最大の距離を測ればよい.視標の視角は、視標が小さい限りは眼からの距離に反比例するとみなしてかまわない.
3.視標にはその全体が視角にして5分になる正方形の文字を採用する.文字の字画の幅を文字全体の1/5に等しくする.こうした字画を正常眼では1分の視角で視認することができる.そして、各字画の視角の大きさを文字全体の1/5にすると、その視角は1分になる.たとえば、 C という文字を視角5分の大きさで、切れ目の部分を視角1分にする.
4.視力表の各種サイズの視標文字の脇に、それが視角5分となる距離(フィート)を印す.文字の切れ目だけでなく文字全体を正確に作成することが大切である.
5.こうして作成した文字を視認できる最も遠い距離(d)、それが視角5分になる距離(D)から視力(V)は、V = d/D である.d、Dが 20 フィートであれば、V は 20/20 であり、これは正常の視力にほかならない.しかし、d がDよりも大きい、つまり 20 フィートよりも遠方で見えることがある.その場合は正常の標準視力 20/20 よりも良いことになる.
6.視力は加齢とともに低下する.透光体の透明度が減少して網膜像がぼけたり、認知能が低下したりいするからである.
7.視力は視標の文字が異なっても等しいのがふつうである.そうではなく、視力値が一定の距離でも著しく変化するのであれば、屈折異常のために距離に合っていないと考えられる.視力が遠方の視標よりも近方の視標で著しく良い場合は近視にちがいない.明視できる最も遠い距離がほぼ近視の程度に一致する.凸レンズによって遠方の視力が増す場合は遠視にちがいない.視力が増す最も強い凸レンズが遠視の程度を表す.(以下、省略)』
Herman Snellen (1834-1908) はオランダ Utrecht 郊外の開業医の息子.Utrecht 大学を卒業、一般外科を研修したが、Donders の研究に興味をもち眼科医を志向した.Donders が1858年に開設した国立眼科病院 (Netherlands Eye Hospital) に研修医として採用され、DondersとSnellenとで眼機能学の歴史を開拓した.視力検査については、 19 世紀初頭からいくつかの方法が提案され実践されていたが、検査の距離をも勘案した視力の段階評価をきちんと定め、屈折検査を補完するような量的視力測定の開発が待たれていた.1862 年からDonders の助言で課題に取り組んだ Snellen は後年、研究を振り返って次ぎのように書いている.『今回の試みは Jaeger's Schriftscalen (1854) とはさまざまな点で異なる.まず、遠見視力を測定するためのもので、さまざまな文字や絵を並べてある.文字や絵は正方形で描いてある.直線の幅、線の間隔の大きさはそれぞれ同じとし、文字全体の大きさの丁度5分の1にした.文字の基本構造は、太さが等しい直線3本を、太さと等しい間隔で平行に描き、、、、、アルファベット文字にはエジプトのparagon type を用いて.....各種サイズの文字について、同じサイズの文字をいくつか並べた.それぞれで視角が5分になる距離(フィートまたはメートル)を文字の脇に印した.こうして、視力 (acuteness of vision, V) は、検査距離 (d) と視角5分でようやく見える距離 (D) との関係から V = d/D である.たとえば、20/200という視力は、患者が20フィートでようやく視認できる視標は正常者が200フィートで見える視標であることを意味している.』
Donders は屈折光学の研究に専念するために、一般の診療業務のほとんどを Snellen に任せた. 1862年頃には Snellen が事実上の責任者になり、欧州を代表する眼科施設に成長した.Snellen はまもなくBern大学と Leiden大学から招請されたが、ユトレヒトにとどまって1884 年にDonders を継いだ.視力表に加えてred-green test にも名前が残っており、睫毛乱生・睫毛内反・眼瞼内反に対する「スネレン法」は現在も汎用され、白内障術後の「当て金」を工夫したのもSnellenだとされている.
140年前にSnellen が考案した視力測定法は、ほぼそのまま現在まで引き継がれてきた.ただし、欧米では Snellen の原法にしたがって視標の距離を重視した分数視力、我が国では単純な小数視力で表している.
分数視力はともかく、視認最小視角の逆数をそのまま表す小数視力には、その段階が等間隔ではないといった問題があり、たとえば「術後の視力は xx 段階改善した...」といった統計分析ができない.そして、感覚強度の間隔は「Logarithmic scale」で表現されるという心理物理学のルールにあてはめにくい.こうした弱点を克服するために LogMAR 視力という新たな概念による検査が実践されようとしている.
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