近着最新情報
タイにおける緑内障の疫学(BJO 2003;87:1069-1074)
50歳以上の成人701人中27人(3.8%)が緑内障に罹患.内訳はPOAG = 67%, PACG = 21%,secondary glaucoma = 12%. 緑内障はタイにおける視力障害原因の第2位である.(コメント:正常眼圧緑内障のことは言及なし).
オマーンにおける糖尿病網膜症(BJO 2003;87:1061-1064)
無作為抽出の糖尿病患者2249人の調査.網膜症は14.4%、50代と60代の男性に多い.背景網膜症=8.7%、増殖網膜症=2.7%、黄斑症=5.1%.罹病期間、HbA1c 9%以上、高血圧・腎症に依存して発症した.
インドネシアの農村地帯における視力障害調査(BJO 2003;87:1075-1078)
成人での視力障害率は加齢とともに増加、両眼low visionが5.8%、両眼blindnessが2.2%.Low visionの原因は白内障(61%)・屈折異常(12.9%)・弱視(12.9%).Blindnessの原因は白内障(62.5%).この結果はアジアの低開発国と同様で、多くは治療可能である.
新生児鼻涙管閉塞に対する治療の遅れ(BJO 2003;87:1151-1153)
生後1年以上も経ってからブジーを施行した101例138眼(13-60か月)の前向き調査.治癒率:施行時月齢13-24か月では89%、24か月では72%だった.膜様閉塞事例では90.2%、複雑閉塞事例では33.3%だった.ブジー療法の効果は、施行後1週目の結果が鍵であった.
新生児期眼位異常と斜視発生(BJO 2003;87:1142-1145)
214人の視能訓練士が自分の子供達を出生直後から15年間にわたって前向きに観察した.新生児期にときどきだけ眼位ずれを起こした子供は、まったく起こさなかったり、しばしば起こした子供よりも斜視や屈折異常を起こすことは少なかった.輻湊運動の発達は、遠視眼のほうが正視眼や近視眼よりも遅かった.
早期発症調節性内斜視と乳児内斜視は鑑別できるか(Eye 2003; 17, 707-710)
乳児期発症の内斜視256例の事後調査.2.5D以上の遠視を示したのは37例(14.4%)であった.その中の18例(48.6%)は眼鏡だけで眼位は改善した.残る19例は眼位はかなり改善したが手術を必要とした.初診時月齢・遠視の程度・斜視角・弱視・不同視・下斜筋過動に両群に有意差はなかった.真の調節性内斜視と真の乳児内斜視との鑑別は乳児期には困難である.乳児内斜視であっても眼鏡矯正がかなりの程度まで有効である.ゆえに、乳児内斜視であっても2.5D以上の遠視がある場合は早い時期から眼鏡を装用させるのがよいだろう.
弱視治療としてのアトロピンと遮閉の比較(Ophthalmology 2003; 110: 1632-1637)
Amblyopia 409例(7歳以下、視力0.2-0.5)をアトロピン療法または遮閉法にランダム化して、6か月後の治療効果を検討.全体として遮閉群の視力改善効果はアトロピン群よりもわずかに大きかった.治療前視力・年齢・弱視の成因と視力改善との間に関連はなかった.0.4-0.2の視力で1日10時間以上遮閉した場合は、効果がより大きかった.
虚血型網膜中心静脈閉塞に対する外科的治療(BJO 2003;87:1126-1129)
Ischemic CRVOの有効な治療法は知られていない.7例8眼について、硝子体切除・汎網膜光凝固・ガス注入を行った(4眼では網膜切除を追加).血管新生緑内障を来したものはなく、視力の改善がみられた.いくつかの症例は白内障を併発した.3例で網膜静脈の怒脹が消失した.
ベーチェット病の嚢胞様黄斑浮腫に対するダイアモックスの効果(Eye 2003;17, 762-766)
29例55眼を対象としたランダム化二重盲検比較試験.ダイアモックスによって蛍光眼底造影所見の改善率がやや大きかったが、プラセボと比較すると有意差はなかった.視力改善にも有効とはいえなかった.
緑内障の術後の網膜神経線維層の厚さ(Ophthalmology 2003; 110: 1506-1511)
濾過手術後の眼圧下降に対応して、視神経線維層は有意に厚みを増す.
難治性緑内障の網膜切除療法(BJO 2003;87:1094-1102)
薬物や濾過手術が無効の難治緑内障(眼圧>35 mm Hg, 4か月以上)44例(血管新生緑内障12、先天緑内障3、無水晶体眼13、重度外傷7、Ehlers-Danlos
2).硝子体切除術・周辺部網膜切除・ガスタンポナーデを施行後5年の経過で、約半数が合併症なく眼圧調整に成功した.血管新生緑内障の成績は不良、ぶどう膜炎に続発した事例では眼球癆になりやすかった.
米国における滲出型加齢黄斑変性の頻度(Ophthalmology 2003; 110: 1534-1539)
65歳以上の健康保険加入者について無作為抽出調査.滲出型加齢黄斑変性の発生率は1000人当たり9.4から11.4と見積もることができる.女性がわずかながら多い.白人は黒人よりも5-6倍大きい.この調査結果はBeaver
Dam Study の結果と一致しており、米国における標準資料となるであろう.
ICG染色による黄斑前膜切除後の視野異常(Am J Ophthalmol 2003; 136: 252-257)
ICGによる網膜内境界膜染色による切除を併用した硝子体手術で7例中3例で、術後に周辺視野異常を来たした.ICGを併用しなかった9例では、そうした異常はみなかった.
|