近着最新情報 (国際誌 September issue)
未熟児の屈折(BJO)
未熟児では網膜症を発生しなくても屈折異常を来たすことが多い.59名の未熟児の調節麻痺屈折度を生後6、12、48か月で調査.対照と比べると、近視、不同視の頻度が大きい.
高齢者の血圧と網膜細小血管異常との関係(BJO)
コホート2405名(69-87歳)の血圧と眼底写真を検討.高血圧患者では、網膜細小血管異常が著しく多く、その程度は血圧値と持続期間に依存する.
高血圧性網膜症は心筋梗塞のリスクを高める(BJO)
コホート560名(高血圧、高脂血症)について、眼底所見と心筋梗塞との関係を調査.8年の経過を調べて判明したことは次ぎのとおりである.
51名が心筋梗塞を発症した.高血圧性網膜症(びまん性動脈狭細、局所性動脈狭細、動脈壁反射亢進、出血斑、白斑、毛細血管瘤、乳頭浮腫)を示した中年男性での心筋梗塞を発症するリスクは、
そういった所見を示さなかった人よりも2倍に上昇、網膜動脈が狭細化していた人では3倍のリスクを示した.
中国人における近視の社会的背景(BJO)
軸性近視の頻度は、高学歴、高収入、近業を要する職業と関連する.
翼状片とp53(Eye)
翼状片切除組織におけるp53の発現を調べると、組織中の増殖細胞を含む部分で発現が確認され、変性した部分では発現していない.
こうした所見は再発病巣で顕著にみられる.
抗てんかん薬vigabatrinの副作用:視野異常(BJO)
長期内服中の100例を調査すると、20例(20%)が高度の視野狭窄を示した.視野異常の程度は、服薬を中止しても良くも悪くもならない.
男性のほうが抗てんかん薬の副作用を来しやすい.
虚血性視神経症のMRI(Ophthalmology)
64例の虚血性視神経症を検討.血管炎性(arteritic ION)であるか非血管炎性(non-arteritic ION)であるかを識別するの
MR画像は有用である.(コメント:日本人の虚血性視神経症はほぼすべて非血管炎性である.)
加齢黄斑変性の初期病巣:網膜血管と脈絡膜血管との吻合(Ophthalmology)
Occult CNV 205眼の初期病巣を詳しく画像検査すると、57眼という多数にretinochoroidal anastomosesが見られた.
加齢黄斑変性脈絡膜血管新生の放射線療法(Arch Ophthalmol)
英国におけるrandomized control trial (199 cases) with a total dose of 12 Gy of 6-mV photons in 6 fractions.有効だという結果は得られない.
増殖糖尿病網膜症と細胞成長因子(Am J Ophthalmol)
Insulin-like growth factor (IGF)、vascular endothelial growth factor (VEGF) は増殖糖尿病網膜症眼の硝子体で増加している.
増殖の病因として直接かかわるのはVEGFであることを確認した.IGF増量の意味はよくわからない.
Progression of visual field loss in untreated glaucoma patients and glaucoma suspects in St. Lucia, West Indies (Am J Ophthalmol 2002; 134: 399-405)
1986-1987年に開放隅角緑内障検診、10年間にわたって無処置だった205例(疑診を含む)を再度検討.右眼55%、左眼52%で視野異常が進んだ.
視野の増悪は、性・眼圧・初診時視野とは関連せず、年齢と関連した(P<.001).Advanced Glaucoma Intervention
Study criteriaに準じて統計検討すると、10年間無治療だと16%が重度視野障害を来たすと想定する事ができる. (コメント:ユニークな研究資料、開放隅角緑内障を放置すると確実に失明に近付くことを実証).
緑内障眼と眼球脈波(BJO)
眼球脈波の振幅(ocular pulse amplitude)は正常眼圧緑内障の検出に有用である.
原発開放隅角緑内障 (20名)、正常眼圧緑内障 (20名)、 高眼圧症(20名)、正常(20名)を対象に、眼圧と眼球脈波振幅を同時に測定(The SmartLens dynamic observing tonometer, Switzerland).
正常眼圧緑内障眼だけが、脈波の振幅低下を示した.血圧との関係はなかった.眼球脈波の測定は、正常眼圧緑内障の検出に有用であろう.
深前房の急性眼圧上昇の処置には前房穿刺が有効である.(Ophthalmology)
Risk, causes, and outcomes of visual impairment after loss of vision in the non-amblyopic eye. A population-based study. Lancet 2002; 360: 621-622.
いわゆる機能性弱視(amblyopia)のまま成人した場合、非弱視眼(non-amblyopic eye)が、一般人と同じように、さまざまな疾病に罹患して視力低下を来たすことがある.
英国におけるこうした事例37例を集めている.原因は網膜の血管障害や加齢黄斑変性や外傷が多い.非弱視眼の視力が低下すると、驚くべきことに、それまで不良だった弱視眼の視力が見るべき程度まで改善するのが確認された.
その機序は不明であるが、脳の可塑性の問題がからんでいるのかもしれない.
(コメント:30年ほど前は弱視の知識や幼児期の検診機会が乏しかったので、
重度の片眼弱視を残した斜視弱視や視覚刺激遮断弱視の症例をよく診たものである.そうした症例は、今や中年から壮年になって非弱視眼にさまざまな疾病が発生する事例があるに違いない.
脳の可塑性という問題とからめて興味ある知見である.)
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